コラム

翻訳者になるうえで重要なこと

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翻訳者になるうえで重要なこととはなんでしょうか?

英語力?日本語力?経験?

どういった勉強をすればよいのか、どういった生活を送ればよいのか。

これから翻訳者を目指す方は、なにを意識して準備をしていけば良いのか迷うこともあると思います。

また多くの方が誤解しているテーマでもあるので改めて紐解いていこうと思います。

※翻訳とは様々な言語を扱う仕事ですが、今回は英語と日本語の翻訳にテーマを絞って進めていきます。

翻訳者と翻訳家

まず最初にはっきりさせなければいけないのが、翻訳者と翻訳家の違いです。この二つは似ているようで異なります。実は、この二つのどちらを目指すかで重要となるスキルが丸っきり変わるのです。

ちなみに翻訳者と翻訳家の明確な違いは無く、一般的にこのように使い分けられているという程度なので、予め書き添えておきます。

翻訳者とは、いわゆる産業翻訳をする人のこと。企業や研究所などから論文や、マニュアル、ウェブサイトなどの翻訳をするのが主な仕事です。

翻訳家とは、いわゆる文芸翻訳をする人のこと。映画の字幕や本などの文芸作品を翻訳します。

しかし先にも述べた通り、両者に明確な違いはなく、産業翻訳を主としている人が文芸翻訳を請け負うこともあります(逆も然り)。

しかし、恐らくこのページをご覧の多くは翻訳を目指しているのではないでしょうか。ですので、今回は、翻訳者に焦点を当てて話を進めていきます。

ただし、最初に双方にどういったスキルが必要なのかという結論を簡単に述べたいと思います。

それは、「翻訳する原文を自分でも一から書ける力」です。

つまり、文芸作品の翻訳なら、文芸作品を自分で書く力。論文翻訳なら論文を自分で書く力です。

もちろんハリーポッターの翻訳をするには、ハリーポッター並みの面白い物語が書けなくてはいけないのかと言ったらそうではありませんが、同等とまでは行かなくても同じベクトル上である程度の力が必要なのです。

翻訳者と翻訳家では求められるスキルが異なるといったのはそういうことです。

元研究員が優れた翻訳者になったり、優れた翻訳家が作家になるケースが多いのはそういった背景があるのかもしれませんね。

それでは、あえて最初に結論を述べましたが、ここからは必要となる能力についてもう少し細かく見ていきましょう。

 

翻訳者に最も重要なのは英語力?

翻訳は日本語から英語、英語から日本語に変換する仕事なのだから当然、英語力が最も重要だろうと考える方が非常に多いです。

とくに日本人は、英語が苦手な方が多いですから、それだけ躍起になって英語を勉強する方が多くいます。

もちろん英語力を磨くのは間違いではないのですが、これを第一にするのは少し違います。しかしそれは、英語力が高い必要はないという意味ではありません。

いうなれば、翻訳において英語力は二の次であり、優れていて当然なのです。

しかしここで言う英語力とは、知っている単語の数ではありません。実は、いくら英語が流暢でも翻訳者をしていれば知らない単語が日々、なだれ込むように登場します。ですからそういったときは辞書を開いて単語を調べるのです。これは優れた翻訳者でも日常的に行っていることです。

要するに単語は辞書を引けば知ることが出来るので頭の中に無くても(あるに越したことはありませんが)なんとかなります。それよりも重要なのが表現力です。

翻訳者として活躍するようになると、様々なタイプの依頼が舞い込んできます。翻訳者はそんな依頼をできる限り総合的に対応し、クライアントを満足させなければいけません。そこで求められるのが、多様な表現力です。それは英語と日本語、双方に言えることです。

文章を直訳するだけなら、翻訳者でなくても英語と日本語が読める人であればできますし、今や機械でさえそれができるようになっています。それでもプロの翻訳者の需要が途絶えないのは、原文にある細かな背景、行間を加味して翻訳をすることができるからです。そのようなニュアンスを忠実に翻訳するには巧みな表現力が必要不可欠です。そしてその表現力を身につけるには卓越した英語力、日本語力が求められるのです。

それと同時に原文の細かなニュアンスを読み取る能力も必要なのは言うまでもありませんね。

 

情報収集能力

翻訳をしていると、知らない単語が当たり前のように登場するというのは、先ほども述べた通り。しかしそれは単語だけに言えることではありません。

専門的な文書であればあるほど、わからないことが絶えず登場するのです。翻訳者としてのキャリアがまだ浅いうちはとくに多いでしょう。しかしそこはプロの翻訳者として「わからない」で済ますわけにはいきません。従ってわからないことがあればひたすら調べるしかないのです。

調べるといっても、インターネットで検索するだけではありません(インターネットも大いに活用しますが)。それは本であったり文献であったり、人だったりと情報源は様々。翻訳者同士で助け合うことも少なくありません。

そして翻訳業とは常に時間との勝負です。いかに素早く正確な情報を収集することができるかが、鍵となってきます。

情報収集能力を磨くには普段から情報収集をする癖をつけて経験を積むほかありません。

 

セルフマネジメント能力

翻訳者といっても様々なタイプがありますね。

翻訳会社に登録するケース、クラウドソーシングで仕事を取ってくるケース、個人で直接仕事を取ってくるケースなど。

しかし、このページをご覧の方は、フリーランスで自宅などで翻訳をする自由気ままなライフスタイルをイメージしているのではないでしょうか。

いずれにせよ、翻訳者である以上、仕事が回ってくるのを待つのではなく、自分で仕事を探して獲得する力が最低限必要になってきます。それには、自分の魅力を相手にプレゼンする力も求められます。

翻訳だけで生計を立てるには、非常に多くの案件を素早くこなす必要があります。それだけに仕事を獲得する力も重要ですし、時間の管理も極めて重要です。タスクを詰め込みすぎて納期に間に合わなければ、クライアントに迷惑がかかりますし、信頼が一気に落ちて仕事が回ってこなくなってしまうかもしれません。

クライアントの信頼を得て、紹介によって新しい案件を獲得できるようになるのが理想ですね。

 

まとめ

それでは改めて翻訳者になるために重要なことをまとめましょう。

  • 翻訳者と翻訳家では必要なスキルが異なる
  • 英単語も重要だが豊富な表現力が必要不可欠
  • いかに素早く正確な情報を収集できるか
  • 仕事を獲得する能力と時間管理が重要

まず、重要なのが、産業翻訳を生業とする“翻訳者”と文芸翻訳を生業とする“翻訳家”とでは求められるスキルが変わるという点を留意しておきましょう。そしてこの記事では翻訳者にとって重要なスキルをご紹介しました。

「英語を使う職業」というイメージから英語力が全てだと思い込んでいる方が多い中、実は他にも重要なことがたくさんあるんだというのが今回のお話の主軸でした。逆に英語さえできれば翻訳者になれる、とお考えの方はこれから要注意です。

では英語力以外になにが必要なのか?これは翻訳者でも翻訳家でも同じですが、翻訳業とは時間との勝負。とにかくスピーディーに正確に仕事ができるかが鍵になります。

非常に簡単ではございますが、翻訳者として求められるスキルについてご紹介しました。翻訳者を目指している方、翻訳者としてステップアップを目指している方の参考になれば幸いです。

 

 

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